あの日、いってらっしゃいを言えなかった──後悔からはじまる癒しの旅
朝から夫婦喧嘩をしてしまい、「いってらっしゃい」のひと言もかけられなかった──
そんな日常のひとこまが、人生を大きく変えてしまうことがあります。
その日、ご主人は怒ったまま家を出ていきました。
しばらくして、警察から突然の電話が入りました。
「ご主人が交通事故で亡くなられました」と。
この知らせは、まるで心に刃が突き刺さるような痛みを伴いながら、奥様の人生を一変させました。
言えなかった「いってらっしゃい」、
交わせなかった「ごめんね」、
取り戻せない時間が、胸を締め付けます。
奥様は深い後悔に押しつぶされそうになり、
眠れず、食べられず、
ついにはアルコールにすがって、
心の痛みから逃げるしかありませんでした。
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愛する人との突然の別れを受け入れるのは、誰にとっても簡単なことではありません。
「受け入れられない」のが、むしろ“普通”です。
私自身も、夫が「余命半年」と告げられたときから、
徐々に「死」と向き合い、別れを覚悟する時間が与えられました。
子どもたちがいたことで、心を整えなければという役割があったことも、
もしかすると私にとっての“救い”だったのかもしれません。
けれど、それでも「悲しみがなくなった」わけではありません。
それは一生、心の中に寄り添い続ける感情です。
だからこそ、私はその悲しみと“共に生きる”方法を探してきました。
奥様とも、何度も何度もお話をしました。
悲しみも、後悔も、怒りも、やり場のない孤独も、
全部、言葉にしてもらいました。
時間はかかります。
でも、声に出し、自分の痛みに名前をつけることが、
少しずつ心の“呪縛”をほどいてくれます。
「もう戻れない現実」を、ただ受け入れるだけではなく、
その悲しみを抱えながらも、今をどう生きるかを選ぶこと。
それが、グリーフケアの本質です。
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神様は、試練とともに“気づき”を与えてくれます。
私は、夫を見送った経験があったからこそ、
今、こうして悲しみに苦しむ方の声に耳を傾けられます。
私自身の癒しも、クライアントさんの「少し楽になれました」という言葉から生まれます。
そんなふうに、人と人との繋がりの中で、
悲しみは形を変えて、光に変わっていくのだと知りました。
私のまわりには、スピリチュアルを学ぶ方々がたくさんいらっしゃいます。
魂のこと、目に見えない力のこと、
それらを共有し合うことが、いつの間にか私の生きる糧になっていました。
霊的に優れた人とは──
自分にも、他人にも「本当に良いもの」を望み、
それを行動に移せる人のこと。
それはまさに、神に近い生き方です。
この世界で、私たちは光を宿して生まれてきています。
だからこそ、あの世に行くと自然と光に惹かれる。
それは、自分の中にある神性を思い出すから。
魂と魂が会話し、
光と光が響き合う。
そんな奇跡のような繋がりが、この世界には満ちているのです。
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どんな出会いも、どんな別れも、すべてには意味があります。
悲しみの中にいるときこそ、
その意味に気づこうとする心が、あなたを導いてくれます。
たとえ今日がどんなに辛くても、
明日、ほんの少し違う見方ができたなら、
あなたの中にある光は必ずまた輝き出します。
どうぞ、あなたの中にある幸せの種に気づいてください。
幸せは、「起こる」ものではなく、
「気づく」ものだから。
そして誰にでも、
考え方次第で幸せになれる力があるのです。