与える心は波紋となり、人間関係を静かに温めていく
人と人が関わる世界には、目に見えない“波”のようなものがあります。
その波は、私たちがどんな想いで相手と向き合うかによって、柔らかくもなり、荒れることもあり、流れを変えることもあります。
アメリカ先住民に広く伝わる「ギブ・アウェイ」という風習は、まさにこの“波”を美しく整えてきた知恵のひとつです。
私たちが誕生日にプレゼントを「もらう」文化とは違い、彼らは誕生日を迎えた本人が、来てくれた人へありがとうの気持ちを込めて贈り物を渡します。
今日まで命が続いてきたこと、生かされていることへの深い感謝を周りの人へ循環させていく…
その優しい姿勢は、まるで心の周波数が静かな光となって広がるような、凛とした美しさを感じさせます。
私の身近にも、毎年この風習を大切に実践されている方がいらっしゃいます。
誕生日に集まってくれた人、一人ひとりへ、喜んでくれるものを事前にリサーチしておき、当日は感謝の想いとともに皆の前でそのプレゼントをお渡しします。
ただモノを贈るのではありません。
「この方ならきっとこれが嬉しいだろうな」
そう思いながら選んだ経緯まで、丁寧に言葉にして伝えてくださるのです。
その時間はまるで、場の空気全体があたたかく色づく瞬間。
関係性を大切にする心、他者の存在を尊ぶ眼差し、そして“与えることの喜び”が、静かに会場の空気を満たしていきます。
不思議なことに、そうして贈られたプレゼントは、その物自体以上の意味を持つように感じます。
なぜなら、選んだその瞬間からすでに相手への波動がつながり、その想いが一つの小さな世界観として形になっているからです。
その波動は、手のひらに乗る贈り物をそっと包み、その奥にある「あなたの存在が嬉しい」というメッセージを運んでくれます。
簡単なようで、実はなかなか真似ができることではありません。
与える側の心が、満たされていないとできない行為だからです。
だからこそ、与えるという愛を自然に実践しているその方の生き方に、私は毎年深く感動し、学びをいただいています。
そして、この風習が教えてくれるのは「人間関係には、必ず波がある」ということ。
与えれば波は静まり、奪おうとすると濁る。
相手を想えば波は整い、恐れを抱くと乱れやすくなる。
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人間関係で悩んでいるあなたへ
もし今、誰かとの関係で心が痛んでいるなら、どうか自分を責めないでください。
そして、相手をただ「傷つける存在」として見なくても大丈夫です。
その人は、あなたが気づきを得て魂の成長を深めるために現れた、ひとりのメッセンジャー。
あなたの内側に眠る学びをそっと揺らし、見えなかった世界を照らしてくれる存在です。
どうしてこんな出来事が?
どうしてこの人とぶつかってしまうの?
そう思う瞬間にも、あなたの魂は静かに上昇しようと動き続けています。
どうか、そこで感じたことを拒まずに受け取ってみてください。
その学びを通して、あなたの波動は必ず整い、これから出会う人との関係にも光が広がっていきます。
あなたは今、確かに成長の途中にいます。
優しい風が、あなたの内側にも必ず流れはじめますからね。