死を見つめることで、生が輝く──癒しと笑顔で綴ったグリーフケアの記録

死を見つめることで、生が輝く──癒しと笑顔で綴ったグリーフケアの記録

死を見つめることで、生が輝く──癒しと笑顔で綴ったグリーフケアの記録

だいぶ前のことになりますが、末期がんと診断された一人の女性と、そのご家族に出会いました。

ご縁をいただき、音叉ヒーリングを通して痛みの軽減や睡眠障害の改善など、少しでも心身が和らげばと、日々寄り添わせていただきました。

この出会いのなかで、私がもっとも強く感じた“お役目”は、肉体の痛みではなく、「死に直面している恐怖」を少しでも取り除いてあげることでした。

けれどそれは、簡単なことではありません。言葉ひとつ、沈黙ひとつが、深い感情に触れてしまう繊細な時間だからこそ、私は耳を澄まし、心を澄ませて、その方の声をとことん聴き続けました。

生きている私たちが「死」を語るとき、多くは不安や悲しみ、あるいは避けたい話題として心の外に追いやってしまいがちです。

けれど、彼女と過ごした時間は、そんな固定観念を優しくほどいてくれるものでした。

私がヒーリングと対話を通じてお伝えしていたのは、こんなことでした。

死後の世界は存在するということ

死ぬことは不幸ではないということ

一番の不幸は、何も味わえず、感じきれずに人生を終えること

死と向き合うからこそ、人生は鮮やかになるということ

“生きる”とは、どうやって“死んでいくか”を見つめることでもあるということ

・そして、エンディングノートを通して、いつか来るその日に備えることは、今を大切に生きることと繋がっているということ。

毎日のようにお会いしていたその時間は、けっして重たく、苦しいものではありませんでした。

むしろ、たわいのない話や、くだらないことで笑い合う時間がほとんどだったかもしれません。

「今度、これを食べてみたいんだ」

「次は、あそこに行ってみたい」

「昔、あんなこともあったのよ」と笑いながら話す姿に、私は何度も、“生きる力”を見せてもらいました。

時にはご家族も一緒に、まるで未来の旅行計画を立てるように、希望や夢を膨らませて話す時間は、かけがえのない宝物でした。

病を抱えながらも「今」を楽しむ姿、そしてそれを支えるご家族の愛の深さ──

その温かさに、私自身がどれだけ癒され、学びをいただいたか、言葉では言い尽くせません。

そして、あの世に還られるその日まで、ほぼ毎日寄り添わせていただいた日々は、私にとっても人生の節目のような時間でした。

“別れ”は決して悲しみだけではなく、“つながり”の記憶として、心に優しく刻まれていくのだということを、私はこの経験から深く感じました。

人生は、いつか終わりを迎えます。

それは誰にとっても例外ではなく、避けられないことです。

けれど、**「死があるから生が輝く」**のだとしたら、

私たちは恐れで一日を過ごすのではなく、「どう生きたいか」に意識を向けていく必要があるのだと思います。

悲しみや辛さ、苦しさを一人で抱える必要はありません。

人は誰かと分かち合うことで、痛みを半分にし、希望を灯すことができます。

「がんばらなきゃ」と無理に笑わなくてもいい。

「私だけが苦しい」と心を閉ざさなくてもいい。

あなたは、ひとりではありません。

どうか、「今」を味わいながら生きてください。

そして、いつか訪れるその日まで、

笑い合える日々が一日でも多く続きますように。

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