良い人をやめなくても、自分を大切にすることはできる

良い人をやめなくても、自分を大切にすることはできる

相手を思いやることと、自分のエネルギーを守ることは両立できます

「もっと自分を大切にしたほうがいいですよ」

そう言われても、

「でも、相手のことを考えたら……」

「私が合わせればいいから」

「相手に嫌な思いをさせたくない」

そんなふうに考えてしまうことはありませんか?

人に優しくすること。

相手の気持ちを考えること。

誰かのために動くこと。

それは、とても素敵なことです。

だから私は、

「良い人をやめましょう」

とは思いません。

むしろ、思いやりのある優しさは、その人が持っている大切な魅力だと思っています。

ただ、一つだけ大切にしてほしいことがあります。

それは、

「相手を大切にすること」と「自分を後回しにすること」は、同じではない

ということです。

*****

以前、クライアントさんから、ご夫婦のお話を伺ったことがありました。

お話を聞いているうちに、私はなんだか心がほっこりしてしまったのです。

そのご夫婦は、生活リズムが少し違っていました。

奥様は朝型。

ご主人は夜型。

当然、眠る時間も起きる時間も少しずつ違います。

以前は、

「一緒に食事をしなくては」

と、お互いに相手に合わせようとしていたそうです。

でも、それを続けているうちに、

「本当は眠いのに、食事の時間を合わせなければ……」

「相手がまだ起きているから、自分も合わせなければ……」

そんな小さな無理が積み重なっていきました。

そこで、お二人は寝室を別々にすることにしました。

すると――

不思議なくらい、楽になったそうです。

「相手に合わせなければ」

というストレスがなくなった。

自分の眠りたい時間に眠ることができる。

相手も、自分のリズムで過ごせる。

一緒にいることだけが夫婦の形ではない。

そんなことを、お二人は少しずつ体感していったのだと思います。

*****

そして、もう一つ、とても可愛らしいお話をしてくださいました。

ご主人は、ご自宅の中でスマートフォンをどこに置いたのか、よくわからなくなってしまうそうです。

以前の奥様は、

「あ、また始まった!」

と、リビングなどを一緒に探していたそうです。

何度も続くと、

「どうしていつも私が探さなきゃいけないの?」

そんなストレスも、少しずつ溜まっていきますよね。

でも、今は違います。

スマートフォンを見つけると、奥様はご主人に手のひらを差し出して、

「お礼は?」

と、笑顔で冗談を言うそうです。

するとご主人も、

「はい!」

と、千円札を渡したり、

時には一万円札を渡したりする。

「えっ、こんなにくれるの?」

「一万円のときは、マジで嬉しい!」

と、奥様は笑いながら話してくださいました。

私はそのお話を聞きながら、

「なんて素敵なコミュニケーションなんだろう」

と思いました。

以前だったら、

「またスマホをなくしたの?」

「もう、自分でちゃんと置いておいてよ」

そんなふうにイライラしていたかもしれません。

でも今は、

「探す」という出来事そのものを、二人のちょっとした遊びに変えている。

もちろん、毎回一万円をもらえるわけではありません(笑)。

でも、そのやり取りの中に、

お二人なりの愛情とユーモアがあるのです。

*****

そして奥様が、こんなことをおっしゃっていました。

「こんなふうになるまでに、色々あったんです」

夫婦だからこそ、

近いからこそ、

言わなくてもわかってほしい。

自分ばかり我慢している。

相手もきっと我慢している。

そんな時期もあったそうです。

振り返ってみると、

「お互いに自分を我慢させていたんですよね」

と。

この言葉が、とても心に残りました。

相手のために我慢する。

相手に合わせる。

相手を思いやる。

一見すると、とても優しい行動です。

でも、それが長く続いて、

「私は本当はどうしたい?」

という自分の気持ちが置き去りになってしまうと、

いつの間にか、その優しさが「我慢」に変わってしまうことがあります。

*****

だからといって、

「我慢してきた自分はダメだった」

ということではありません。

そのときの二人には、

そのときの二人なりの愛情の形があったのだと思います。

「相手を大切にしたい」

「一緒に仲良く暮らしたい」

その思いがあったからこそ、合わせようとした。

でも、長い時間を一緒に過ごす中で、

「無理に合わせなくてもいいんじゃない?」

と、少しずつ気づいていった。

そして今は、

それぞれが自分のリズムを大切にしながら、

一緒にいるときは一緒に笑える。

そんな距離感が、とても心地いいそうです。

私は、このお話の中に、

「自分を大切にすること」と「相手を大切にすること」は両立できる

ということが、自然に表れているように感じました。

*****

夫婦だから、いつも一緒でなければいけない。

家族だから、同じ生活リズムでなければいけない。

好きな人だから、何でも合わせなければいけない。

そんな「こうあるべき」に縛られてしまうと、

本当は大切にしたい相手との関係が、苦しくなってしまうことがあります。

でも、

「私は朝型」

「あなたは夜型」

それぞれ違っていい。

「私はこうしたい」

「あなたはそうしたい」

それも違っていい。

違うからこそ、

お互いに心地よい距離を探していく

それは、決して愛が薄れたということではありません。

むしろ、

相手を一人の人として尊重すること

そして、

自分自身も一人の大切な人として尊重すること

その両方なのだと思います。

*****

エネルギーという視点から見ても、

無理をしているときと、

「これでいい」と自分が納得しているときでは、

心や身体の感じ方は違います。

本当は眠いのに相手に合わせる。

本当は疲れているのに「大丈夫」と言う。

本当は嫌なのに「いいよ」と答える。

そうした小さな無理が積み重なると、

自分でも気づかないうちにエネルギーが消耗していくことがあります。

反対に、

「私はこうしたい」

「今日はこうするね」

と、自分の心と身体の声を尊重できると、

内側に少し余裕が生まれます。

その余裕があるからこそ、

相手にも優しくできる。

だから、

自分を大切にすることは、相手を大切にしないことではありません。

むしろ、自分のエネルギーを守ることが、

結果として人との関係を穏やかにしてくれることもあるのです。

*****

私自身も、これまでの人生の中で、

「相手のために」と思うあまり、

自分の気持ちを後回しにしてしまったことがありました。

そのときは、

「これくらい我慢するのは当たり前」

「相手を思えば仕方がない」

と思っていたこともあります。

でも、振り返ってみると、

自分の気持ちを大切にすることと、

相手を思いやることは、

どちらか一つを選ばなくてもよかったのだと気づきました。

そして今は、

私はどうしたい?

と、自分自身に問いかけることを以前より大切にしています。

自分の心に余裕があると、

人に向ける優しさも、無理のない自然なものになるからです

*****

もし今、

誰かとの関係に疲れている方がいたら、

「もっと我慢しなければ」

と、自分を責めなくても大丈夫です。

「私は本当はどう感じている?」

「何が嫌だったのかな?」

「どうしたら、もう少し心地よく過ごせるかな?」

と、自分に聞いてあげてください。

すぐに答えが出なくても大丈夫。

長い間、自分より誰かを優先してきた方ほど、

自分の本当の気持ちがわからなくなっていることがあります。

だから、少しずつでいいのです。

無理なことを一つ減らす

自分の好きな時間を大切にする。

疲れたら休む。

「今はできない」と伝える。

相手と少し距離を取ってみる

そして、

「これくらいなら、お互いに心地いいね」

という場所を探していく。

それでいいのだと思います。

*****

先ほどのご夫婦は、

「今は、この距離感が居心地いいんです」

と、笑ってお話ししてくださいました。

その笑顔を見ていると、

夫婦の幸せの形は、

外から見える形だけではわからないのだな、と感じます。

同じ部屋で眠ること。

いつも一緒に食事をすること。

何でも一緒に行動すること。

それだけが「仲の良い夫婦」ではありません。

お互いが自分らしくいられて、

必要なときには笑い合えて、

困ったときには助け合えて、

そして、

この人といると、なんだか心地いい

と思えること。

もしかしたら、それも愛の一つの形なのかもしれません。

良い人をやめなくてもいい。

優しいあなたのままでいい。

相手を思いやる心も、そのままでいい。

ただ、

「私も大切」

ということを、忘れないでください

相手も大切。

そして、私も大切。

どちらかを犠牲にしなくても、

二人が心地よくいられる場所は、きっと探していけます。

あなたの人生の中にも、

「我慢しなくても優しくいられる距離」

「無理をしなくても愛せる関係」

が、少しずつ見つかっていきますように。

そして何より、

あなた自身が、

あなたの一番身近な味方でいてあげられますように

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